セキュリティ・弱点
Web予約・Web問診のセキュリティ、クリニックが確認したいこと
Web予約やWeb問診を取り入れて、電話の負担が減ったというクリニックは多いと思います。一方で「予約の仕組みは提供会社が管理しているから、ホームページ側は関係ない」と考えていると、思わぬところに見落としが残ることがあります。患者さんの多くは、ホームページのボタンから予約ページにたどり着くからです。この記事では、Web予約・Web問診を使うクリニックが、ホームページの側で確認したいことと、提供会社に聞いておきたいことをご紹介します。
Web予約・Web問診とホームページのつながり
Web予約やWeb問診の多くは、専門の提供会社が用意した仕組みを使っています。クリニックのホームページには「Web予約はこちら」といったボタンがあり、押すと提供会社のページに移る形や、ホームページの中に予約画面を組み込んで(埋め込んで)表示する形が一般的です。
たとえるなら、ホームページはクリニックの玄関、予約や問診の仕組みは提携している受付窓口のようなものです。窓口そのものの管理は提供会社が行いますが、玄関から窓口への案内板はクリニックのホームページにあります。この案内板が書き換えられてしまうと、患者さんは別の場所に案内されてしまいます。
| 主な形 | 仕組み | ホームページ側で気をつけたいこと |
|---|---|---|
| ボタンで移る形 | ボタンを押すと、提供会社のページに移って予約や問診を行う | ボタンのリンク先が正しいか、書き換えられていないか |
| 埋め込む形 | 提供会社が用意した部品をホームページに組み込み、ページの中に予約画面を出す | 組み込んでいる部品の設定と、ホームページ自体の安全性 |
| 二次元コードで案内する形 | 院内の掲示や紙から、予約や問診のページに案内する | コードの読み取り先が、今使っているページと一致しているか |
患者さんの情報が実際に送られる先は提供会社の仕組みであることが多いですが、そこにたどり着くまでの入口はクリニックのホームページです。入口の安全を保つことも、患者さんの情報を守ることにつながります。
ホームページの側で確認したいこと
提供会社の仕組みがしっかりしていても、ホームページが第三者に書き換えられると、予約ボタンのリンク先を偽のページに差し替えられるおそれがあります。患者さんは見慣れたホームページから移っているので、偽のページだと気づきにくいのが難しいところです。次の点を確認しておきましょう。
- 予約ボタンを実際に押してみるホームページの予約ボタンを押して、移った先のアドレスが提供会社から案内されたものと同じかを確かめます。トップページだけでなく、診療案内や各ページのボタンもひととおり確認します。
- 移った先にも鍵マークが出ているか見る予約や問診のページで、アドレス欄に鍵マーク(通信の暗号化)が出ているかを確認します。あわせて、ホームページ自体にも鍵マークが出ているかを見ます。
- 埋め込みの部品を把握する予約画面を組み込んでいる場合、どのページに、誰が、いつ組み込んだかを記録しておきます。提供会社を変えた後に、古い部品が残ったままになっていないかも確認します。
- ホームページの土台を更新するWordPress(ホームページを更新するための仕組み)、プラグイン(追加機能)、PHP(ホームページを動かすためのプログラムの言語)が古いままだと、書き換えの入口になり得ます。定期的な更新を担当者に依頼します。
- スマートフォンでも確かめる予約の多くはスマートフォンから行われます。スマートフォンで開いた時にも、ボタンが正しく表示され、正しいページに移るかを確認します。
2026年10月20日にPHPの開発チームが深刻な弱点2件の修正を予告し、10月21日にはIPA(情報処理推進機構)が注意喚起を出しました。弱点はPHP本体にあるため、WordPressを新しくしていてもPHPが古ければ対象になり得ます。予約ボタンを置いているホームページの土台が古くなっていないか、この機会に確かめておくと安心です。
見た目では分からない変化に気づくには
ホームページの書き換えは、院長やスタッフが見ている画面では何も変わっていないように見えることがあります。たとえば、検索から来た人やスマートフォンで見た人だけを別のページに移す仕掛けもあります。気になるサインがないか、ときどき確かめておきましょう。
- 患者さんから「予約ページの見た目がいつもと違った」「見慣れない画面が出た」と言われた
- 予約の件数が急に減ったのに、電話での問い合わせは変わらない
- 検索結果に、クリニックとは関係のない文章が表示されている
- Googleの検索結果やブラウザに、警告が出るようになった
見た目では分からないサインの確かめ方は、ホームページが乗っ取られていないか確認する方法で詳しくご紹介しています。外から見える範囲の状態は、アドレスを入れるだけで確認できる無料の自動診断でも確かめられます。
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提供会社に確認しておきたいこと
予約や問診の仕組みそのものの安全性や、患者さんの情報の扱いについては、提供会社に確認するのが確実です。導入の時に説明を受けていても、時間がたつと内容を忘れてしまうものです。次のような質問を、一度まとめて聞いておくことをおすすめします。
| 聞いておきたいこと | 確認の目的 |
|---|---|
| 患者さんの情報はどこに保存され、誰が見られますか | 情報のしまい場所と、見られる範囲を把握する |
| クリニック側のアカウントは、職員ごとに分けられますか | 誰が操作したかを分かるようにし、退職時に止められるようにする |
| ログインの時に、パスワード以外の確認(二段階の確認)を使えますか | パスワードが漏れた時の備えにする |
| ホームページに組み込む部品やリンクに変更があった時、知らせてもらえますか | 古い部品やリンクが残らないようにする |
| 障害で使えない時は、どこで知らせてもらえますか | 患者さんへの案内を早めに切り替える |
| 契約をやめる時、予約や問診の記録はどうなりますか | 記録の引き継ぎや削除の扱いを知っておく |
責任の分かれ目は、契約と専門家で確かめましょう
患者さんの情報を守る責任が、クリニックと提供会社のどちらにどこまであるかは、契約の内容や使い方によって変わります。この記事では断定できませんので、契約書や利用規約をご確認のうえ、提供会社や弁護士などの専門家にご確認ください。
院内で決めておきたいこと
予約や問診の管理画面は、受付スタッフが日常的に使うものです。便利な反面、アカウントやパスワードの扱いが曖昧になりやすいところでもあります。院内で次のような点を決めておくと安心です。
- 管理画面のアカウントは、できるだけ職員ごとに分ける
- パスワードを付箋に書いて、受付のパソコンに貼らない
- 職員が退職したら、その日のうちにアカウントを止める
- 受付のパソコンから離れる時は、管理画面を閉じるか画面をロックする
- 予約や問診のページのアドレスと、提供会社の連絡先を院内で共有しておく
- 院内の掲示や紙で案内している二次元コードが、今のページを指しているか確認する
特に気をつけたいのが、受付のパソコンにパスワードを保存したまま、誰でも管理画面に入れる状態になっているケースです。忙しい受付では便利に感じますが、誰がいつ予約を変更したのかが分からなくなり、退職した職員が自宅から入れてしまう、といったことも起こり得ます。提供会社の仕組みで二段階の確認(パスワードに加えて、スマートフォンに届く番号などで本人を確かめる方法)が使える場合は、取り入れを検討してみてください。
年に一度の見直し日を決めておく
アカウントの一覧、予約ボタンのリンク先、院内の掲示の二次元コード、提供会社の連絡先を、年に一度まとめて見直す日を決めておくと、古い設定が残りにくくなります。職員の入れ替わりが多い時期に合わせるのも一つの方法です。
ホームページの問い合わせフォームでも患者さんの情報を受け取っている場合は、問い合わせ・予約フォームの個人情報の記事もあわせてご覧ください。フォームと予約の仕組みの両方を見直すと、情報の流れ全体が見えてきます。
予約が使えない時の備え
提供会社の障害や、ホームページのトラブルで、Web予約が一時的に使えなくなることがあります。そうした時に患者さんが困らないよう、案内の切り替え方を決めておきましょう。
- ホームページの予約ボタンの近くに、電話番号も載せておく
- 予約が使えない時に出すお知らせの文面を、あらかじめ用意しておく(例:「ただいまWeb予約がご利用いただけません。お電話でご予約ください。」)
- お知らせをホームページに出せる人と、その手順を院内で共有しておく
- Googleマップのクリニック情報(Googleビジネスプロフィール)に載せている予約の案内も、あわせて切り替えられるようにしておく
Web予約・Web問診の仕組みそのものの扱いや、法律上の責任の範囲は、提供会社や専門家にご確認ください。そのうえで、入口となるホームページの側で何を整えればよいかを知りたい場合は、HPドクターの専門家による無料セカンドオピニオンをご利用ください。今の制作会社との契約はそのままで、今の状態を見立て、手を入れる順番をお伝えします。保守をお任せいただく場合は担当制で、緊急時は24時間受け付けています。
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無料でセカンドオピニオンを受けるよくあるご質問
予約の仕組みは提供会社が管理しているので、ホームページは関係ありませんか?
予約の仕組みそのものは提供会社の管理ですが、多くの患者さんはホームページのボタンから予約ページに移ります。ホームページが書き換えられると、ボタンのリンク先を差し替えられるおそれがあるため、入口となるホームページの手入れも大切です。
予約ボタンのリンク先は、どうやって確かめればいいですか?
実際にボタンを押して、移った先のアドレスが提供会社から案内されたものと同じかを見るのが分かりやすい方法です。パソコンとスマートフォンの両方で、主なページのボタンを確かめてください。
患者さんの情報が漏れた場合、責任はクリニックと提供会社のどちらにありますか?
契約の内容や使い方によって変わるため、この記事では断定できません。契約書や利用規約をご確認のうえ、提供会社や弁護士などの専門家にご確認ください。
提供会社を変えた後、何か確認することはありますか?
古い予約ページへのリンクや、組み込んでいた部品がホームページに残っていないかを確認してください。院内の掲示や紙の二次元コードが、新しいページを指しているかもあわせて確かめると安心です。
Web予約が使えなくなった時、どうすればいいですか?
まず提供会社の障害情報を確認し、ホームページや院内の掲示で電話予約に切り替える案内を出します。案内の文面と、お知らせを出せる人をあらかじめ決めておくと、落ち着いて対応できます。
この記事は、クリニックのホームページの保守を担当する株式会社Canvi「HPドクター」編集部がまとめました。運営会社は、医療法人・医療系企業の営業・採用・教育を支援する「MedLead」も提供しています。

